【人生を自由に生きる】共生コーチ 牛飼 勇太さん

インタビュー

私が最初に牛飼さんにお会いしたのは、昨年の夏。

知人に紹介してもらい、オンラインでお話した。

画面から伝わってきたのは、温厚さ、こだわり抜かれた生活感、多くの価値観と触れた人にしかない独特な空気、そして自然の力。

それらを前になんだか緊張してしまった私に、牛飼さんは

「評価するつもりは全くないので、リラックスしましょう~。」

と言ってくれた。

常に評価される環境にいる私たちだが、きっと彼はそれを超えたところにいるのだと、思った。

決して一度会っただけでは吸収しきれない何かを持っていて、「また会いたい」と思わせる達人。

今回は、そんな牛飼さんの「思考」をテーマに、お話を伺ってきた。

(取材:yuko 写真:本人提供)

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記事を読んで頂くにあたって、牛飼さんの経歴を簡単にご紹介します。(神戸新聞より一部抜粋)

大阪府出身。専門学校卒業後美容師となるが、父の死をきっかけに日本一周の旅へ。タイへ行き、北米大陸も横断。日本一周時は路上で筆を持ち、道行く人に書と詩を提供。その後カフェの開店・経営、広告会社の立ち上げ等に携わりながら、六甲山にてシェアハウス暮らしを始める。現在は加東市の古民家にて、コミュニティに関する多彩な活動を行っている。

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―美容師から旅人になられたということで、お父様が亡くなられたときにどのような葛藤があったのですか?

父が余命の宣告を受けていたので、その間に心の準備やコミュニケーションができたし、いい形で見送れてはいました。その中で父の生き方がすごく前向きで、弱音も吐かず笑っている姿を見て、「人の生きる姿」を見て伝えていきたいと思ったんです。

それで、旅をすることで色んな人の生き方に触れながら、教えてもらったことをメッセージにしていきたいと思い、筆で表現していきました。

牛飼さん作「夢」

―「生きるとはどういうことか」という問いをお父様に頂いて、答えを探しに行かれたのですね。その「生きる意味」は誰しもが考える問いだと思うのですが、どのように答えを見つけられると思っていますか?

自分の本当の望みに気付くことが大事だと思っています。望みを持っていなければ、嘆くことも落胆することも怒ることもないはずなので、みんな何らかの望みを持っていると思っています。

ただ、望みが明確になっていない人は、それに対して応えることができないから、良くない方向だけに反射してしまうんじゃないかな。自分の心の声に耳を傾けて、どういうことが嬉しくてどういうことが悲しいのかを探していく時間を取ることが大事かなと思いますね。

―なるほど。牛飼さんは今、生きる意味についてどのように考えていますか。

生まれたことに価値はあるけど意味は後付けするものだと思っています。それこそ、望みに対してそれに見合う意味を付けていけば良いので。

僕はたくさん感動したいので、そのためには真剣に、全力で生きることが大事です。手を抜いてやっていることに感動はやってこないので、自分がこうやるぞと思ったことには全力で取り組むと。

また、どんな視点から見るかというのも大事で、生物学的多様性からみると、生きているだけでも意義はあるし、生命そのものにも価値はある。

僕が山の中に住んで、人間と人間じゃないものを見比べながら生活をして気づいたことは、生きるということに直結していないことも人間は行うということ。例えば、食べる、排せつする、繁殖する。この三つは生きることに直結していて、これだけをしている生物が大半なんです。

それに対して人間は直結していないことをたくさんしています。レストランに行く。対話をする。歌を歌うなど。人間の生きる醍醐味は、一見無駄なようにも見えるこれらに価値や意味を見出せることだと思います。そしてそこに、人間に与えられた役割があると思うんです。

なので、人が生きるというのは単純ではないというか。簡単ではないものをなるべくシンプルに受け止めることが凄く大事なのかなと思ったりしてます。

人間だけに与えられた感受性を刺激することで、その役割を全うできる、とする牛飼さん。そんなマクロな視点で人を見つめる彼は、自らの役割についてはミクロ的に把握していた。

―過去に「お金の流れが見えるようになった」と仰っていますが、それは牛飼さんの中で財産となりましたか?

そうですね。特に人を支援する立場になって目標を叶えることを考えたとき、必ずお金は出てくるんですけど、そこも一緒に考えるとしたら、できるだけ自分の知識やできることが多い方が良い。そういう意味ではすごく役立てることができると思います。

現代社会ではお金と時間は密接に関わっていて、お金がなくなってくると時間を切り売りしなきゃいけなくなるので、時間に追われる生き方になりやすい。今までは自分のやりたいことをやれるだけのお金があればいいわっていう考え方でしたけど、今は子供が二人いて、一緒に過ごしたり学んだりすることを考えると、時間がしっかりとれるようにお金の運用もした方がいいなと思うようになりました。

―支援するにもされるにも、人に好かれることが大切ですよね。牛飼さん流の「人と接するときの極意」は何でしょう?

一つは素直であることが大事だと思っていて、思ったことや感情をしっかり伝える。あとは相手の想いをくみ取るということですかね。観察したり傾聴したり色々ありますけど、相手の言葉になっていない想いにもアンテナを張る、という意識でいることが大事だと思いますね。

もう一つは軸があることが大事だと思っていて、「この人はきっとこうだ」っていうイメージがつくというか。いつも変わらないスタンスで迎えることが大事で、そこにはムラがない。その同じ軸の中で、どんどん新しいことをやったり表現に磨きがかかっていたりすると、また話を聞きたくなると思いますね。

あとはシンプルに、気持ちの良い挨拶とか返事とか、相手を思いやる気持ちとかですね。最近思うのは、自分に能力や知識がある方が、相手を喜ばせることができるということです。だとすればたくさん学んだ方が良いし、力を付けた方が良い。今まで僕も、自分の力不足で取り組みたいことが形にならず、悔しい経験をしたこともあったので、自分に力をつけることは大事だなと今も思いますね。

”相手を喜ばせる”牛飼さん周りには笑顔があふれる。

―力をつけるというのは、勉強したり本を読んだりといったことですか?

経験を積むということも大事だと思いますね。小さなことでも自分が思ったことを着実にやっていく。着実にやる方法は気合じゃなくて、習慣なんです。その習慣を続けていくことで、これだけやっているからできるに違いないという自信がつくんですよね。それが自分を支えてくれるんで。

最近はそれで習慣化することにはまっています。モーニングルーティーンみたいな。

―モーニングルーティーンを教えてください。

まずミネラルウォーターににがりをちょっと入れて、ウコンのサプリとドライフルーツを食べて。あとはコーヒーを毎朝豆から挽いて入れるんですけど、入れる時間が10分くらいあって。その10分の間に足つぼボードを踏み、お湯を沸かすときにオッケーグーグルでニュースを聞きながら、水と黒ニンニクを摂りながら、更に「ブッダの一日一話」という本の今日の分を必ず読んで、自分の中で一日を始めていくという感じです。

健康分野が多いのは、僕の父親が煙草を吸う人だったので、母親は「辞めさせておけばよかった」というわずかな後悔が残ったんです。それで、家族とか身近な人に後悔を残させるのは良くないなと思ったんですよね。だから僕が健康に対する努力をしていたら、僕に何かあってもみんな諦めがつくかなと。

―牛飼さんの考え方が哲学的なのは、毎朝ブッダの教えをインプットしている影響なんですね。

影響しているのもあるし、ブッダとアドラーの考え方が、自分の感覚に近いなと感じています。あーそれだみたいな。

―どういったところが近いと感じますか?

ブッダは超現実思考で、見えない世界を説いているのではなく、人間としての生き方を説いている。アドラーもそうですよね、全部自分がつくっている。それは最も厳しくもあるし、最も愛がある。だから自由なんです。

自由と言うのは自分に由るということで、全て自分がつくっていて、その責任も自分にあるということなんです。何かあっても言い訳が無い世界。みんな自由を望んでいても、自由の捉え方が少し違って、何にも苦労しなくても自分の願いが叶うと思っている人が多いように思いますが、そうではなくて、最も厳しい道でもあるんです。でも僕はそれが好きですね。成長できるし、楽しいし。

―確かに、「自由」という言葉は独り歩きしているように見えますね。牛飼さんは好きな人と好きな仕事をするという「自由」な生活をされていて、そのライフスタイルには多くが憧れていると思いますが、牛飼さんのようになるためにはどうしたらいいでしょう?

人に好かれるというのが第一条件でしょうね。そして自分の得意なことが明確になっているということが大事だと思いますね。「こんなことができる人」っていうのがないと、何か一緒に仕事をしたいと思っても、何を頼んでいいか分からないので。今は得意じゃないけどニーズがあるからそれに応えようというのも良いと思います。

あとは自分の軸の中で選択をしていくことはすごく大事かなと思っていて、例えば僕だったら、感動の多い人生を生きたい。でも感動に繋がらないようなことをいっぱいしていると、自分でもよくわからなくなってくるし、途中で苦しくなってくる。

まずは自分の望みを知ったうえで、それに沿ったスキルとか力をつけると、それを求められるのでどんどん好きに向かっていけるわけですよね。

―自分のことをはっきりと示すことで求められるようになるんですね。

なると思います。

―得意なことが見つけられない人にアドバイスを送るとしたらどんな言葉をかけますか?

得意にすると決めることですね。自由な世界なので、得意なんて作れる。得意じゃないのはあなたがしてないから。だから、向いてないとかないですよね。

自分の望みを理解してないと、続かなかったりいろんな障害がやってきて諦めたりするかもしれません。でも、望みさえ知っていれば、そこに沿ったことをすれば必ず得意になれます。沿ってないことをやろうとするから、なんかこれ苦手だわみたいなことで終わる。

―まさに自由ですね。ところで最近、わくわくや感動を発見する場所が、旅から身近な環境に変化したそうですね。これは何を意味しているのでしょうか。

旅をして帰ってきたとき、旅と日常の違いって何かなと思ったんです。

旅の時って、この瞬間この出会いはたった今だけのもの、みたいな感覚があるんですよね。それが旅の醍醐味というか。

でも日常の中で同じ人といたとしても、今日の自分と昨日の自分は違うし、相手も違うわけですよね。色んなものが変化していて、全く同じというわけではない。ということは旅と一緒なんです。だから、旅の感覚を持って日常を生きることが一番大事ですね。

あとは、旅は自由だと感じやすい。風の吹く方に行ってみようとか、さいころ振ってあっちに進もうとか、そういうことが旅の間はできますよね。それを日常になるとできないと思っていますよね。会社に行かないといけない、満員電車に乗らないといけない。でも旅の間も、目的のためにしなきゃいけないことはあるんですよ。飛行機に乗ったり、お金を払ったり、愛想の悪い入国審査官と話したり。

会社には得たいものがあっていくわけですから、そのためにはしなければならないことも紐づいていますということなんですね。それは旅であろうが日常であろうが一緒なので、要するに自由なんですよ。どこにいても何をしていても。

牛飼さんの暮らす里山付古民家

―つい忘れてしまいがちな感覚ですよね。それを思い出すために工夫されていることはありますか?

家の隣に小さな里山があるんですけど、自然の中に住んでいると移り変わりがはっきりわかるんですよね。今だったら梅の木があって、そこに小さな梅の実がいっぱいついている。それを僕は取って、梅干しを作って、毎日食べるんですけど、ちょっとずつ大きくなっているなとか、色んな変化があるわけですよね。そういう体験をすると、新しい一日がやってきた実感が湧きます。

それがコンクリートとなると変化していないように感じますし、変わらないことを良しとしている。なので、自然の中に身を置いてみるということも大事かなと思いますね。

取材も終盤にさしかかり、話は「自己の把握」と「人生」の関係へ。

―牛飼さんは軸がはっきりとされていますが、それは自分と向き合い続けた結果と捉えて良いのでしょうか。

そうですねぇ。自分というのは移り変わっていくものなので、今もなお向き合い続けていて、探求し続けるものだと思っています。

ただ振り返ってみると、必ずつながっている軸はあると思いますね。それが何かを見ていくことは大事だと思います。選んだものを並べてみると、自分ってこういう傾向があるなとか。自分の選択の共通点を常に見ていくと、自分を見つめるきっかけになります。

―自己分析を続けられたと。

自己分析が好きなんですよね。自分のタイプを知ると、自分の望みもはっきりするし、コントロールしやすくなりますよね。自分をコントロールするスキルは大切な力の一つだと思っていて、例えば運転が下手な人とドライブに行きたいですかという話です。

自分をコントロールするのが下手な人と一緒にいると、たくさん事故を起こす。自分のことをしっかり理解している人といると、安全にドライブを楽しむことができますよね。

―それは感情も含めて?

気性の荒い人とドライブしたくないですよね。いきなりハンドル握って怒鳴ったり、号泣し始めたりとかね。だから人生を共に歩むっていうのは、同じ車に乗るということだと思っていて。

コントロールができた上で一緒にいい景色をみて感動したり、その場所にたどり着いて感動したりできたら良いなと。

―人生は同じ車に乗るということ、腑に落ちました。そろそろお時間となりますが、あと二点だけお伺いします。いま、夢はありますか?

ありますよ、常に。最近はね、何でも家族で叶えたいなと思っていて、行きたいときに行きたいところに行けて、会いたいときに会いたい人に会える、そういうライフスタイルを家族で実現していくと。

そのために必要なのは、持ち運べる仕事。なので、コーチングなんかもオンラインでやらせてもらっていて、どこにいてもできますよね。あとは経済的なところで、お金を勉強しているっていうのも、お金の扱い方とか増やし方を分かっていると、行きたいときに行きたいところに行きやすいですよね。

―なるほど。最後に、牛飼さんの肩書は何でしょうか。

 共生コーチというのを自分でつけていて、共に生きることをつくっていくということなんですけど、人と共に生きている感覚が、僕は幸せの一番の要素だと思っていて。主語を「私たち」にする感覚です。

僕の場合は人だけではなくて、人と自然の中の生き物を「私たち」ってできると、地球にも優しい生き方ができたり、より幸せを感じられる生き方ができるんじゃないかと考えていて。それで共生コーチという肩書を付けたんですよね。ちょうど一年前くらいかな。まだ若葉マークですけど、共生コーチを始めました。

時折笑顔を見せながら自身の考えを話してくれた牛飼さんは、1年前に始めたこのLive Nowの活動も、「若葉マークですね」と歓迎してくれた。

どこまでも人に好かれる人だと、思う。

彼の「感動したい」という望みは、自分の心も人の心も動かすということだ。

自身の望みを叶えつつ、人のためにも生きているところに、一つの軸が見えた気がした。

さて、望みを叶え、自由に生きるためのヒントを、ここまでお読み頂いた方は得たことだろう。

生きている意味は、私たちが付けられるものだ。

これからの人生、どんな色に彩っていこうか。





<プロフィール>

牛飼勇太(うしかいゆうた)。1981年10月21日生まれ。大阪府出身、兵庫県加東市在住。共生コーチ。里山付古民家で家族(妻、長男(4歳)、次男(1歳))と仲間と住み、人間同士はもちろん、“自然”と“人”が共に生きる心地よい関係を追求している。
・人と人、人と自然の心地よい関係をつくる人
・共生コーチとして「共に生きる」をつくるコーチングを行う
・古民家シェアハウス「播磨CASAGOYA」を運営
・加東市の移住定住サポーター
・大阪市、豊能町、京都市など行政依頼の活性化事業に携わる
・農家支援事業「援農キャラバン」企画

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牛飼 勇太
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note 「Earthな朝活🌏~人と自然と地球~」

牛飼 勇太|note
共生家。共生コーチ。父親。里山付古民家で家族と仲間と住み “人と人” “人と自然” の心地よい関係を探求。同時に何が資産なのかを見つめ直し経済や資本主義に飲み込まれない幸せな生き方を探求、実践している。

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