【育児は楽しく】2児の母 まみさん

インタビュー

ライフプランを自由に描けてしまう現代。みな、どの道に進むべきか迷っている。

転職、結婚、育児、起業…

人生では、こういったライフイベントを選択することができる。

するも、しないも、人生。

Live Nowが今回取り上げるテーマは「子育て」。

人生にこのライフステージを用意するかどうか選べる時代、悩める現代人のために、先駆者の声を載せたいと思った。

今回は、子供を持つ選択をし、子育てがひと段落したまみさんに、全体を振り返った苦労や醍醐味を伺った。

今はまだというあなたにも、奮闘中のあなたにも、きっとためになるはずだ。

(取材・撮影/yuko)

まみさんのお子さん

習いごとと絵本は、子どもが成長する最大の機会。

―今回はご希望により、顔出しはなしということで進めていきます。24歳で結婚され、26歳で長女、28歳で次女を出産されているんですね。さて、早速ですが、「母となって良かった」と思ったときはどんなときでしょう?

子供の日々の成長を間近で見られたときや、喜び・感動を同じ時間に共有できたときです。

赤ちゃんの頃は、1週間違えばできることが変わってくるから、それを見るのが楽しかったですね。首が座り、寝返り、おすわりができるようになり、やがてハイハイやつかまり立ちをするようになります。1年後にはよちよち歩きますからね。この成長は凄いです。

表情も豊かになり、大人の真似をするようになるので、真似されても良いように言葉遣いや行動を気を付けるようになりました。

上の子が幼稚園に行くようになった時に、私は2年保育で十分だと思い、年少として通うはずの1年を色々な習い事にあてました。2歳違いの娘たちはいつも工夫して遊んでいたので、日中は自由に遊ばせて、午後から英語、スイミング、新体操に通わせていました。

―習い事の意味はありましたか?

転勤族だったので、転校先で引っ込み思案にならないように、どこに転校しても「私これできるよ」と自ら発信できるように、1つの強みになればと思っていました。

スイミングにしたのは、私が泳げずに辛い思いをしたから。それと、1人でも大人になってもできるスポーツなので。

習い事はどれも体験をさせて、本人がやりたいと思うことをさせていました。転校先でも習い事を続けることで、学校とは別の居場所ができたのは意味があったのではと思います。

―育てていくうえで、大変だったことと面白かったことは何でしょう?

大変だったことは、夫の帰りが遅く、自分1人で世話をすることが多かったことです。

お風呂の時は、自分はまだ着替えないまま、子供を拭いて服を着せていましたね。時には子供から泣き叫びながら呼ばれたりするので、ゆっくりお風呂に浸かった記憶がないです。

面白かったのは、子供たちの遊びの中に、絵本で読んだ成果が反映されるのを見た時です。

毎日絵本が届く制度を使っていて、届くたびにそれを毎晩読み聞かせていました。その内容が日常で出てきて、遊ぶ中でも使われ始め、どんどん話が膨らんでいって、想像力がたくましくなっていく。その流れがとても面白かったです。

ーなぜ絵本を読み聞かせようと?

絵本を読み聞かせたきっかけは、私があまり本を読まなかったから。

私の母は自ら率先して本を読んでいた方で、「子供も何もしなくても読むだろう」と思ってたらしくて。でも私は何も読まなかったので、理解する能力がなくて。

国語も、読書をしていた人は勉強しなくてもできるけど、私は読書をしてなかったから、勉強しないとわからない。何でその答えになるのかが分からなくて苦労して、子供にはこういう苦労はさせたくないなと。だから、小さいときから本があるのが当たり前の生活にしたかったんです。

そして、生まれてきたまっさらな状態の子供を前にして、「私たちが与えること次第で、良くも悪くもなる」と思いました。何を吹き込めば良いか考えたとき、私が発する言葉や知識だけでは限りがあるので、可哀想だと思ったんです。

絵本を通して、言葉や、言葉遣いや、知識や、いろんなことを一緒に学びながら成長したいと思いました。

読み聞かせをしていた絵本の一部

―絵本を買いだして感じたことはありますか?

子供の、“絵本を見る”力が大人以上にあることです。大人には単なる景色としか見えないところを、子供が何か見つけて、「こんなところにこれがいるよ」と教えてくれるんです。視点が大人と全然違うなと思って。

あと、自分では選ばない本を子供が選んで持って来たり、読んでいるときの反応とかも面白かったですね。

そして、同じ本を何十回も読むから、言葉の使い方やきれいな言葉を知らない間に吸収しているんですね。だから、「これは中断しちゃいけない」と思って、小学校を卒業するまで続けました。

驚いたのは、上の子が3歳のとき、下の子を「叱って」と言ったんです。凄いと思って。「怒って」じゃないの、「叱って」と。

子どもと大人の世界は切り離して考える。まみさん流・幼少期の子育て方法

―絵本の効果って凄いんですね。少し大きくなってからはいかがですか?

小学校に上がったころ、8人くらいが家に遊びに来て、半分くらいがゲームを持って来たんです。するとそのうち、子供たちの遊び方が二手に分かれて。「外で遊ぼう」という子と、「家の中で通信して遊ぼう」という子と。

うちの子は外に行ったので、家に残っていた子たちに、「せっかく来たから、お外でみんなと遊んだら?」って声を掛けたんですけど、その子たちは「ゲームが良い」って言って。

そのとき、「たぶん遊び方も違うし、この子たちはもうこの家に来ないな」と思って。そしたら案の定、ゲームの子たちはそれ以来家に来てないし、たぶん学校でも遊んでないだろうな。やっぱり子供でも、価値観とか遊び方とかが似ている子と仲良くなっていくんだと思いましたね。そういう付き合いの変化を見るのも面白かったです。

大変だったと言えば、子供と保護者の関係ですかね。子供同士は仲が良くても、保護者が関わると、子育てに対する考え方がそれぞれなので、「ん?」と思うことがあって。

子供だけで都市で遊ぶことに賛成の家庭もあったけど、私は子供だけというのはどうかなと思って、断ったことがありました。でも良かったのは、その後子供たち同士で喧嘩にならなかったし、普段の遊びにも誘ってもらえてたから、お友達に恵まれてたかな。

―なるほど。子育ては保護者間でも子供に対しても、コミュニケーションが大事ですよね。気を付けていたことはありますか?

相手の話を聞いて、言い方に気を付ける。同じことを言うにしても、相手を想った言い方を心掛けていました。

保護者同士で集まって喋ることはあまりなかったけど、合う人と仲良くできれば充分だと思います。

―子供との関係は、年齢を重ねるにつれて変化していきますか?

幼い頃は成長も早いし、その時間はすごく貴重だから、自分が関わっておきたいと思っていましたね。でも、幼稚園からは遊び相手ができるから、その頃から私は子供の世界に深入りしてないと思います。

子供が遊びたい子と遊ばせたいと思っていたので、遊ぶ子のお家に連れて行ったりはしていたけど。「親同士仲良いから、子供も一緒に」っていうのはあまりしたくなくて。子供が誰と遊びたいのかっていうのを見定めて、親の世界と子供の世界は切り離して考えていました。

小学生になると自分であちこち行けて、親の顔が見えないこともあるけど、「この子と遊んじゃ駄目」とは言わなかったかな。自分でわかるだろうと思って。

基本的に信頼してるから、あまり気にしたことはないし、気持ち的な変化も特にないですね。

節分の写真。

―プログラミングや英会話が必須教科になるなど、子育てを取り巻く環境が変化しているように感じます。何を大切にしたら良いでしょうか。

習い事は、体験教室に行かせて、興味がありそうなことはさせてあげて…と言う形が良いんじゃないかなと思います。嫌そうだったらさせても逆効果だしね。

きっかけを与えてあげるのは親の役目だと思うし、それが子供の興味とうまく引っかかれば、そこを伸ばしてあげるのもいいかな。

プログラミングとかも今の時代絶対大事だと思うけど、嫌な子もいると思うから。子供の反応を見て、楽しそうなのをさせてあげたらいいと思います。

子育ては、人間を育て、学ぶことがあるから面白い。

―結婚しない選択肢もある中で、子供を持つ醍醐味は何でしょう?

自分とは全く別の人生を歩いている子供と、今この時を楽しめることです。

学校行事もそうですし、習い事の発表会なども。年代によって子供から学ぶことも違うし、姉妹ですら考えていることも違うから、どんな風に考えてどんな道に進むんだろうとわくわくします。

部活でも大学でも就職でも、考えがあってそっちに進む。人間を育てていくから、面白味はすごくありますよね。

―子供から学ぶこととは?

子供って純粋だから、「可哀そう」と思ったら、何も考えずに助けたりとかするんですね。

それに対して大人は色々と考えてしまうから、素直にものを言えないし、行動できない。

子供は素直で責任感もあるので、自分の忘れている部分だなと。

―自分ができなかったことを投影した教育。ご自身の親の教育方針を受け継いだことはありますか?

否定しないことと、やりたいことは色々させてもらったから、私も子供にはやりたいことはさせていたと思います。あと、自分のことは自分ですること。

行っていた幼稚園のことですが、送迎バスがなかったので、毎日送迎をしてたんです。その迎えのとき、子供の荷物を持つ親が多くて。私はそういうことはしたくなくて、自分のことは自分でやらせていたんですね。

そしたらある日、園長先生の講演会の言葉の中で、「いつまで子供の荷物を持つんですか」って問われたことがあって。「今それを持たせないと、ずっと親が荷物を持つことになりますよ。それでは子供のためになりませんよ」って。

それを聞いて、素晴らしい考えだなと思って。自立するには、自分のことは自分でするようにさせなきゃいけないなって。

悩んだときは、抱え込まない。こだわっても仕方ない。

子育ての中で悩むこともあったと思います。どう解決していましたか?

不安なことは誰かに話していましたね。妊娠中は母親学級という、同じくらいの時期に出産する人が集まる、市のサークルみたいなのがあって。そこに月1回集まって、離乳食の作り方やお風呂の入れ方を学んだりしていて。そこで仲良くなったお友達と話したり、検診のときに先生に聞いたりもしていました。

幼稚園以降は、上にお兄ちゃんお姉ちゃんがいる人に聞いたりとか、とにかく話すことで解決できたかな。自分で抱え込まない。色んな人が色々教えてくれるから、その中で自分に合った答えを選んで。

―配偶者と意見が合わなかったことはありますか?

子供の絵本代で月に3千円~4千円かかっていたんですけど、ある日「外食代に充てたいから絵本辞めて」と言われて。そこでちょっと衝突はしたことはありますね。でも、「絶対本代は削らんぞ」と思って、他のところで節約しました(笑)

続けていて良かったと思ったのは、高校受験が終わってから。上の子からも下の子からも、「絵本を読み聞かせてくれて本当に良かった」と言われたんです。すごく頭の良い子が「国語がわからない」と言っていたらしく、でもうちの子供は「何で国語がわからないかわからない」と言ってて。10数年読み続けているから、その積み重ねは大きいと思いましたね。本は本当に辞めないで良かったです。

―衝突したときって難しいですね。

難しいですね。でも、そこを言ってもダメ。向こうは「何でそんなこと言うの」って思うから。正そうとするんじゃなくて、こっちがやり方を変えていくしかないのかなって思います。

考え方の違いは仕方ないし、こだわっても仕方ないからね。言わなきゃいけないことは言いますけど。

―では最後に、まみさんにとって子供はどんな存在ですか?

大切な存在。夢も与えてくれるし、希望にもなるし、頼れるし、楽しいし、大切な存在。

―夢を与えてくれるというのは?

例えば大学に行ったら、どんな学生生活を送ってどんな人とお友達になるのか、お友達と一緒にどんな世界が広がっていくのか。どんな勉強をしてどんな分野に進むのか。

子供の今を知ることで、夢とか希望を貰えるっていうか。

子供たちがそこに行かなきゃ絶対に知らない世界だから、どんな仕事をするんだろうとか、どんな人と出会うんだろうとか。将来を考えると夢が膨らみます。

自分以外に最も近い存在がいて、描けなかった未来を想うことができる。

それは同時に、自らの選択と工夫次第で子供の人生を大きく変えてしまう、責任の伴う行事でもある。

お金がかかる、自由に生きられなくなる…そういった理由で子供を持たないのも一選択だが、対価として得るものを想えば、失う機会は大きいように筆者は思う。

人を育てることは、ひと時も目を離せない、まさにLive Nowの瞬間の連続。

きっと、「人生は捨てたものではない」と思えるはずだ。

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